マツシマメジャテックは、このたび当社敷地内に簡易電波暗室構造の大型自動検査施設を導入し、センシング事業においてミリ波レベル計の開発を目的とした、新たな研究棟『Waveラボ』として建設しました。
ミリ波レベル計の製造・検査に特化した『Waveラボ』
ミリ波レベル計は、周波数の高さと精度の高さから、その性能を担保するために外乱反射の影響を及ぼさない専用の検査設備が必要となります。
これは、ミリ波レベル計が最大120m という長距離を測定する能力を有していることに由来し、最短でも20m 程度の距離を障害物の影響なく測定できる環境がなければ精度の検証および評価が困難となる為です。
仮に、一般的な工場環境で20m の測定距離を確保しようとした場合、サイドビームの広がり8°(メインビーム=放射=角4°の2 倍)から求めると、20m 到達時の電波の広がり直径が約2.8mの障害物の無い空間が必要となります。
また、多重反射を防止するための余剰空間(前後各5m 程度)も確保する必要があるため、測定環境として縦2.8m、横2.8m、長さ30m 程の空間を確保する必要があります。
しかし、この様な条件を限られた工場環境で再現することは現実的に困難であるため、広がった電波が乱反射せずに吸収される環境(内壁が電波吸収体で覆われた電波暗室構造の設備)が必要です。
国内最大級の大型自動検査施設『Waveラボ』から造られるミリ波レベル計は測定精度±3mmの高精度。ご使用いただくすべてのお客様に安心の性能をお届けします。
従来設備と新設備の主要比較
完成品の性能保証に寄与する測定装置(比較表)
従来設備 |
新設備 |
優位性 |
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測定距離 |
6m | 20m |
国内最大級の電波暗室と同等の測定距離で精度検証ができるようになり、製品の信頼性を向上させることができる。 |
ターゲット板 |
0.2% |
±1mm |
高精度にターゲットを停止させることで、再現性の高い評価試験をより効率的に実施でき、且つ安定な性能評価を行うことができる。 |
測定環境 |
オープンスペース |
電波吸収体に |
工場の内壁や鉄骨、その他の設備等により起こる乱反射を防ぐことができ、純粋に機器が発信する電波のみを無響環境で計測することができるため、再現性を持って精度の評価、検証が行える。 |
新研究棟の概要
簡易電波暗室 |
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サイズ |
幅3.6m×高さ3.6m×長さ23m |
吸収性能(垂直入射) |
C-band( 5GHz帯)-40dB |
使用電波吸収体 |
E&Cエンジニアリング㈱ VHP-4 |
ターゲット設備 |
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ターゲットサイズ / 可動ストローク |
幅1.5m×高さ2.7m / 最大20m |
材質 |
SUS304 |
垂直度 |
±0.5° |
停止精度 |
±1mm |
移動スピード |
0~430mm/s(可変) |
距離校正 |
レーザー距離計(Bosch GLM50Cまたは、Leica DISTO-X3)にて実施 |